顔面神経麻痺の鍼灸治療

医療機関の薬物療法と鍼灸治療の併用が効果的です。顔への鍼で細かくアプローチします。

顔面神経麻痺鍼灸 顔面神経麻痺はWHO(世界保健機構)の鍼灸適応疾患の一つに挙げられており、鍼灸臨床においては回復が得られる疾患として認識されています。
治療に関しては、急性期ではまず専門医療機関におけるステロイドなどの薬物療法で神経の炎症と腫れを引かせ、それと併せて週に1~2回の鍼灸治療をしていきます。
顔面への鍼灸治療により顔面神経やその周辺組織の血流改善・壊れた組織の修復を目指し、手足への治療を合わせる事で全身の血液循環の改善、回復力・免疫力の向上を図っていきます。

『顔面神経麻痺の鍼灸治療』のながれ

問診まず、顔面神経麻痺の評価法である40点法(柳原法)を用い、安静時の非対称の程度や額のしわ寄せ、眼を閉じる動き等をひとつひとつ記録し、合計点を出します。この時鏡を使用し、患者様自身にも何がどの程度出来て、何が出来ないのかを把握してもらいます。この点数は治療ごとに回復の程度を客観的に評価する目安になります。
問診が終わるとベッドに仰向けになってもらい、顔面、手、足のツボに鍼を打っていきます。?装は肘、膝が出れば結構です。当院で着替も準備しておりますのでお気軽にお申し付けください。
鍼が打ち終わると、状況に合わせて打った鍼に電気を流したり、お灸で温めたりします。 治療が終わり、鍼を抜いた後には、家庭での訓練なども指導していきますので、よりいっそうの効果が期待できます。

顔面神経麻痺の鍼灸治療で使う主なツボ

顔にあるツボ

つぼ

【1】翳風(えいふう)
このツボの深部には顔面神経幹が頭蓋骨から出てくる茎乳突孔があります。顔全体の表情筋を支配する顔面神経のおおもとで、大変重要なツボです。耳の後ろの乳様突起という側頭骨の大きなでっぱりと顎の骨の間にある耳の付け根の窪みで、指がすっぽりと入る場所にツボを取ります。歯痛、めまい、乗り物酔いにも効果があり、難聴、耳鳴りの特効穴でもあります。
【2】下関(げかん)
顔面神経頬骨枝の走行上にあるツボで、上くちびるを上げる、くちびるの端(口角)を上や外上方にあげる、眉間の下、鼻の根もとに横じわを寄せる、口を閉じる、くちびるを前に突き出す動きに効果があります。耳の穴の指四本分前。頬骨の下のへりにそって指を前にすすめて、もみあげの少し前の窪みにあるツボです。押すとズーンと響きます。歯痛、耳鳴り、三叉神経痛、顎関節症にも効果があります。
【3】顴?(けんりょう)
顔面神経頬骨枝支配の大頬骨筋の上にあるツボで、くちびるの端(口角)を外上方に引き上げる動きに効果があります。頬骨の隆起の下のヘリで、目じりの外端から真下に下ろした線と、鼻の下端の水平線が交わるところを目安に探し、指で下から押し上げるように押すと響く場所です。三叉神経痛、急性鼻炎にも使用します。また、若返りのツボとも言われ、むくみやたるみ、シミ、ほうれい線などに効果があり、美容効果が高いことで有吊なツボでもあります。
【4】頬車(きょうしゃ)
顔面神経頬筋の走行上にあるツボで、えくぼを作る、口を閉じる、くちびるを前に突き出す、くちびるの両端(口角)を下げる動きに効果があります。耳たぶのすぐ下で、下あごの骨の後ろのへりに沿って指を下ろすと下あごの骨の角があります。その角と耳たぶの下とのほぼ真ん中で、口を開けた時に窪むところにツボを取ります。歯痛、三叉神経痛、あごや頬の腫れなどにも効果があります。
【5】大迎(だいげい)
口角下制筋、下唇下制筋、オトガイ筋を支配する顔面神経下顎縁枝の走行上のツボです。くちびるの両端(口角)を下げる、下唇を下げる、下唇を前に突き出し、あご先端の皮膚を引き上げるといった動きに効果があります。ツボの取り方は、歯を食いしばった状態で指を耳の下から下あごのへりに沿って先端に進めて行くと噛む筋肉(咬筋)の盛り上がりがあり、その前のヘリの骨の窪みにツボをとります。顔面動脈の拍動がわずかに触れる場所です。三叉神経痛からくる口の痙攣、舌のこわばり、下歯の痛み、歯ぐきの痛みにも効果があります。
【6】陽白(ようはく)
顔面神経側頭枝支配の前頭筋の上にあるツボで、眉を上げる、おでこに横じわを作る動きに効果があります。眉の中央から指一本分ほど上の骨の窪みで、強く押すと響く場所にツボを取ります。三叉神経痛、夜盲症、めまいなどにも効果があります。
【7】攅竹(さんちく)
顔面神経側頭枝支配の雛眉筋の上にあるツボで、眉間に縦じわを寄せる動きに効果があります。左右の眉の内側の端で、指を当てて上下に軽く動かすと、細い筋肉のすじに触れる場所です。目の疲れやめまい、結膜炎、頭痛、頭重にも効果があります。
【8】太陽(たいよう)
眼輪筋を支配する顔面神経側頭枝の走行上にあるツボで、目を閉じる動きに効果があります。こめかみと目じりと眉の外側の端の真ん中ぐらいに位置します。太陽という吊の通り目の疲れがスッキリとして晴ればれする、疲れ目による目の痛み、充血など、目のさまざまな症状にも効果があります。
【9】絲竹空(しちくくう)
目を閉じる動きに効果があります。眉の外側の端を指で押さえて上下に動かすと、骨の小さな窪みがあり、そこにツボを取ります。押すと目の奥にツーンと響くような感じがします。目の疲れ、充血、片頭痛、顔のむくみにも効果があります。
【10】迎香(げいこう)
顔面神経頬骨枝支配の上唇鼻翼挙筋の上にあるツボで、上くちびると小鼻を上に引き上げる動きに効果があります。鼻の両脇、小鼻の開いた根もとのすぐ横。親指と人差し指で鼻をつまむときに触れる小さな窪みにツボを取ります。慢性鼻炎、急性鼻炎、蓄膿症など、鼻のさまざまな症状をやわらげる効果もあります。
【11】地倉(ちそう)
顔面神経頬骨枝・頬筋枝支配の口輪筋の上にあるツボで、口を閉じる、くちびるを前に突き出す動きに効果があります。くちびるの両端(口角)のわずかに外側。口の痙攣や口内炎にも効果があります。

手足のツボ

【合谷(ごうこく)】
顔の症状全般に効果があるツボです。手の甲を上にして指を開き、親指と人差し指の付け根の骨と骨が接する部分の窪みにツボを取ります。顔面神経麻痺以外にも、頭痛、歯・歯ぐきの痛み、口内炎、のどの腫れ・痛み、疲れ目、耳鳴り、手のしびれや痛み、鼻血、胃炎、下痢、便秘、乗り物酔い、二日酔い、月経困難症、月経痛、月経上順、にきび、吹き出もの、などなど幅広い症状に効果があり、日々の臨床でよく使われます。

その他、肘周りにある【曲池(きょくち)】【尺沢(しゃくたく)】や、膝の指三本分くらい下の外側にある【足三里(あしさんり)】、足の内くるぶしの前にある【中封(ちゅうほう)】などのツボも合わせて使用し、全身的にアプローチし顔面神経やその周囲の組織の回復を促します。

治療頻度の目安

発症から半年間は週に1~2回、6ヵ月~1年は1~2週間に1回を目安に治療を進めていきます。ベル麻痺は1ヵ月以内に治るケースが多いです。また、正常範囲まで回復した場合や全く変化のない場合は治療終了とします。まれに内出血や刺鍼時の痛みを伴うことがありますが、表情が良くなったり、顔の動きがスムーズになるといった実感を得られると思います。

最初に問診の時間をいただき、患者さんの理解と同意の上で治療にあたっていきますので安心してご相談ください。鍼治療とあわせた顔面部のマッサージも非常に効果的です。

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