筋萎縮性側索硬化症について
鍼は症状の緩和、病状の進行を抑えるのが目的
筋萎縮性側索硬化症
筋萎縮性側索硬化症は、運動をつかさどる神経だけが神経変性(細胞の死)をきたす疾患です。鍼を刺すことにより筋肉や自律神経を刺激することにより血管が拡張しその結果血流量を改善し神経細胞の変性の進行を防ぐことができます。また鍼を刺すことにより神経を刺激し神経の活性化につながります。
進行性の病気ですので治すことはできませんが、進行を遅らせるには鍼灸治療も比較的よい効果が見られます。
筋萎縮性側索硬化症の症状と診断基準
Ⅰ.発病は20歳以降、40代以降が多い。
Ⅱ.発病は緩徐であるが、経過は進行性である。
個人差はあるが2~3年の経過で急速に筋力低下と筋萎縮が進行し、球麻痺(嚥下障害、無声、舌の萎縮)、呼吸筋麻痺になる。
Ⅲ.主症状
①球症状 | 舌の線維束性攣縮・萎縮・麻痺、構音・嚥下障害 |
---|---|
②上位ニューロン徴候 | 深部反射亢進、病的反射陽性 |
③下位ニューロン徴候 | 線維束性攣縮・萎縮・麻痺 |
初発後、症状の全身への拡大がない場合 ①は進行性球麻痺、②は原発性側索硬化症、③は脊髄進行性筋萎縮症と呼ぶ。
ALSの多くは、一側上肢の筋力低下と筋萎縮で始まり、対側にも拡大する。手では母指球筋と骨間筋の萎縮で猿手や鷲手を呈する。
Ⅳ.病型と経過
- 上肢の小手筋の萎縮に始まり、全身へ。
- 球症状に始まり、全身へ。
- 下肢の遠位筋の筋力低下、萎縮に始まり、全身へ。
- 片麻痺あるいは対麻痺から全身へ。
- 末期まで意識は清明で、感覚、眼瞼や眼球運動と括約筋の障害はなく、褥瘡もできにくい。
- 遺伝性を示す例もある。
- 原則として、感覚障害、眼球運動障害、直腸膀胱障害、小脳徴候、錐体外路徴候、痴呆を欠く。
東洋医学的な治療としては患者さんの身体の亢進、衰退を意味する虚実にあわせ、促進、補完を手技とするする補瀉技術を用い治療していく。症状の寛解を目標として、経過を追っていく。進行済みの方、進行の速い方には鍼灸での治療は難しい。
筋萎縮性側索硬化症の治療について
筋萎縮性側索硬化症(ALS)による機能障害は、神経細胞の異常により生じます。
鍼によって筋肉や自律神経を刺激することで、血流の改善、神経の活性化を促す効果が期待できるといわれています。
ただし、鍼治療はあくまで患者の自己治癒力の向上を目的に行なわれるものです。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は進行性の病気であるため、その「悪化を抑える」という目的で鍼が用いられます。完治を目的とした治療ではないということに注意しておきましょう。
また、鍼治療さえ受けていれば一般の病院へ行かなくてもよい、というわけでもありません。しっかり医療機関で治療を受けながら、いわばそのサポート的な役割として鍼を利用する、というのが正しい姿勢といえるでしょう。
即効性を期待できる性質のものではありませんから、定期的に通院することも必要です。
治療の一環としてマッサージをしてくれる鍼灸院も多いので、ある程度はリハビリ的な効果も期待できるでしょう。
加えて、問診、診察、カウンセリングなど、患者の立場に寄り添った個別的な対応も鍼治療の魅力です。当院では、患者の話に丁寧に耳を傾け、きめの細かな治療をいたします。
治療の間隔に関しまして
治療は週に1度から2度の治療になります。
そのため、治療に継続的に来院出来ない方はお断りしております。
症状が軽ければ、週に1度で大丈夫です。症状の進行度が早い場合、もしくは既に進行している場合は週に2度の治療をイメージしておいてください。
筋萎縮性側索硬化症の鍼灸治療に関し、詳しくはこちらのサイトもご覧ください。