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骨折・脱臼の症状

骨折時の症状

患部の症状としては、強い痛み、熱感を伴った腫れ、内出血、異常可動性(関節以外のところで骨が動く)、転位や変形等が見られます。全身症状としては、冷汗が出たり気分が悪くなる ことがあります。また骨折数時間後に37~38℃の発熱を見ることもあります(数日で平熱に戻る)。

骨折時の局所症状

【疼痛(pain)】
  1. 自発痛:骨損傷部が動揺することによって増強し、患部の安静固定により減少する。
  2. 限局性圧痛:骨折部に限局して強い圧痛がある。
  3. 介達痛:離れた部位の刺激(軸圧・叩打・牽引等)により患部に痛みが生じる。
【腫脹(swelling)】
熱感を伴った腫脹が現れる。骨髄・骨質・骨膜及び周囲軟部組織の出血によって起こる。
【機能障害(functional disturbance)】
受傷直後はショックによって患部付近の筋肉が一時的に鈍麻状態になったり、骨折部の動揺による激痛の発生を防止するために患者自身が動きを制限したり、体重の負荷が 不能になるなどによって骨は支持器官としての働きを失う。
【異常可動性・異常運動(bnormal mobility)】
骨折したと思われる箇所を動かすと、関節以外のところで骨が動くものをいう。特に長骨の完全骨折などに著明に現れる。
【軋轢音(crepitation)】
異常運動の際に骨折端が互いに触れ合って出す音をいう。
【転位と変形(dislocation and deformity)】
骨折により骨折端は互いにずれたり曲がったりする。この骨の位置が変わることを転位といい、この転位によって外見上の変形が現れる。

骨折時の全身症状

ショックshock
化学的・物理的または精神的な刺激によって神経系が激しく興奮したり、機能が低下することで、全身の血液循環が片寄った状態になるため発生する。このショックは長くても数時間で 消失するが、もし全身状態がさらに悪化して著明な虚脱症状を呈するときには合併症(脳震盪・ 肺の脂肪塞栓・腹腔骨盤内の内臓損傷・大血管の損傷等)を疑う必要がある。
  1. ショック症状:顔面蒼白で口唇はチアノーゼ(皮膚や粘膜が著しく蒼くみえる),手足は冷たく,全身に冷汗がでて,脈拍は小さく速くなり,ときには触れなくなる。血圧は低下し, 目は虚ろで輝きがなくなり,生あくびが出て,気分が悪くなり,意識がもうろうとなり,最後に昏睡に陥る。
  2. ショックの救急処置:頭を低くし足を高くして背臥させる(ショック体位)。衣服は胸腹部を開いてゆったりさせる。安静が大切で乱暴な取り扱いや動揺は厳禁。寒冷にさらすと悪化 するため、全身を毛布で包み、特に手足の保温に努め元気づける。
発熱・吸収熱(absorption fever)
骨折数時間後に37~38℃の発熱を見る。これらを吸収熱といい、骨折血腫やその他の組織の 分解物の吸収のために発生するもので、数日で平熱に戻る。

脱臼時の症状

痛みや腫れがみられます(但し骨折ほど著明ではない)。また弾発性固定(弾力性の抵抗)や関節部の変形等も認められます。

脱臼時の局所症状

疼痛(pain)
まず自発痛で圧迫感のある持続性疼痛を覚える。その他圧痛・運動痛及び介達痛があるが、骨折ほど激しくない。
腫脹および関節血腫(swelling and hemarthrosis)
腫脹は骨折の際にみるように早急に現れず、また骨折ほど著明ではない。
機能障害(disturbance of unction)
患肢は一定の肢位に固定され、疼痛に耐えてわずかの運動が許されるものである。
弾発性固定・弾発性抵抗(springy fixation)
脱臼固有の症状である。他動的に運動を試みると弾力性の抵抗を覚え、ある程度は可動できるが、力を弛めると再び戻ってしまう状態となる。
関節部の変形(deformity)
関節軸の変化、脱臼肢の長さの変化(延長又は短縮)、関節腔の空虚及び骨頭の異常位置などが認められる。

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